社内外の専門家と共に様々な社会課題の解決に向けたフォーラムの開催や提言を行う株式会社パソナグループの「パソナ総合研究所」(所長:竹中平蔵)は、運営委員会による第5回提言「人生100年時代に求められる教育とは ― 大学は働き続けたい人々を支えるプラットフォームに生まれ変われ!―」を取りまとめた。
従来型の新卒一括採用や終身雇用を前提とした人事制度の見直しが進むなどビジネス環境の変化に直面する企業において、働く一人ひとりが人生100年時代に対応し、環境変化に合わせて各々のスキルを再構築し続けることが求められている。しかし、企業では、中高年のスキル再構築のためのリカレント教育(生涯にわたり教育と就労を交互に行うことを勧める教育システム)にコストをかける誘因に乏しく、また、大学(院)がそうした機能・キャパシティを持つことを企業に認識されていない現状がある。
そこで、パソナ総合研究所では、大学(院)が、働き続けたい人々を支えていくためのプラットフォームに生まれ変われるよう議論を進め、今回、運営委員会による提言「人生100年時代に求められる教育とは」を取りまとめた。
提言では、1.動かない大企業の人事部に対しての「企業におけるメンバーシップ型からジョブ型への抜本的な人事制度の見直し」、 2.期待に応えられない大学に対しての「大学の運営改革と政府による高等教育への監督体制の見直し」、3.期待できない中高年向けリカレント教育に対する「中高年向けリカレント教育の抜本的見直しと拡充」、以上の3点が示された。
2.「大学の運営改革と政府による高等教育への監督体制の見直し」では、大学(院)は企業の求める人材育成のため、よりフレキシブルなカリキュラム運用と実践的な内容のプログラムを提供する運営を行うべき。そうした運営に向け、文科省に経産省や厚労省などを含めた諮問機関を内閣官房に設置し、そこでの方針に従い大学(院)の監督・助成を行い、更に必要に応じ、より抜本的な組織再編を検討すべきと提言した。
また、3.「中高年向けリカレント教育の抜本的見直しと拡充」では、人生100年時代を見据え中高年人材の再生をはかる本来のリカレント教育が幅広くなされるため、政府は大幅な助成を雇用して活用する立場にある企業に対し行うべきと提言。民間の専門会社や専門学校などと競争する中で、大学(院)が競争に勝つために自ら提供する教育プログラムの内容の見直しを行い、仕事を通じて活躍し続けたいと願う人々を支えるプラットフォームに生まれ変わるよう期待を寄せた。
参考:【パソナ総合研究所】人生100年時代に求められる教育とは― 大学は働き続けたい人々を支えるプラットフォームに生まれ変われ!―(PDF)