東北大学大学院生命科学研究科の按田瑞恵博士らのグループは、細菌オーレイモナスが極めてユニークな構成のゲノムをもつことを発見しました。
リボソームRNAは、全ての生物のタンパク質合成を担う、生命の根幹をなす成分です。このような重要な成分を安定的に子孫に伝えるためにも、RNAの遺伝子は染色体上にあるのが当然と信じられてきました。実際、これまで知られていた全ての細菌で、リボソームRNA遺伝子は染色体上にありました。
本研究では、ダイズから分離した細菌オーレイモナスAU20のゲノムが、1つの染色体と小さな8つのプラスミド(染色体とは別のDNA)から構成されており、リボソームRNA遺伝子が染色体ではなくプラスミドに存在していることを確認しました。またRNA遺伝子が存在したプラスミドは、ほぼリボソームRNA遺伝子のみで構成され、細胞分裂に伴って生じる細胞に正確に分配される仕組みがないことも分かりました。
本研究により、植物などが生息環境に適応して進化する過程で、細菌のゲノムがダイナミックに変化していることが明らかとなりました。この成果は、これまでのゲノムに関する常識を覆し、遺伝子機能の調節や自然界での生物間の遺伝子交換に関する今後の研究に新たな視点を与えるものです。