近畿大学の和歌山県新宮市にある水産研究所新宮実験場では、ドイツから受精卵を輸入し人工ふ化させたシベリアチョウザメに、女性ホルモンを含む配合飼料を与え、日本で初めてチョウザメ類の全メス化に成功した。

 養殖してチョウザメからキャビアを生産するには、長い年月を要することに加え、チョウザメの半数がオスであるため、雌雄判別作業にコストがかかる。近畿大学では、これまで、キャビア生産の効率化を図るために全メス化の技術開発に取り組んできた。

 今回の研究では、ふ化後4カ月目のシベリアチョウザメの稚魚150尾に女性ホルモンを混ぜた配合飼料を6カ月間与えた後、22カ月目まで通常の配合飼料で飼育。この中から無作為に45尾を抽出し、生殖腺の形状を実体顕微鏡で観察し卵細胞が確認された個体をメスと判別。卵細胞が確認できなかった個体は、生殖腺の組織切片を染色して卵細胞を確認したところ45尾全てに卵細胞が確認された。

 通常オスを選別するためには、3歳程度になったチョウザメを1尾ずつ池から取り上げ、腹部を切開し、生殖腺の色や形を目視確認して雌雄を判別。さらに、外科用の針と糸で切開部を縫合して池に戻す雌雄判別作業が必要になる。全メス化させることでこの工程を省略することができ、生産者の労力の軽減が期待され、養殖チョウザメから生産されるキャビアの生産コストが低減できる。これにより生産原価が引き下げられれば、キャビアの販売価格も安くできると考えられ、消費者にキャビアをより安価に提供することが期待される。

 今後、近畿大学では、女性ホルモンに代わる食品由来の成分、植物エストロゲンを含む飼料を開発し、全メス化の実現を目指す。全メスチョウザメのキャビアができるようになれば、商品化や、全メス種苗として稚魚や受精卵を全国に供給することも期待される。

参考:【近畿大学】シベリアチョウザメの全メス化に成功 雌雄判別作業を削減し、キャビアの効率生産を目指す

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大学ジャーナルオンライン編集部

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