理化学研究所、日本医科大学などの研究グループは、がんに関わる知識を人工知能(Artificial Intelligence:AI)が自力で獲得する技術を開発した。これにより、今日までに専門家も気づいていなかった、新たながんの特徴を発見することにも成功した。

 今回、研究グループは、機械学習の手法であるディープラーニングと非階層型クラスタリングを用いて、人に教えられることなくがんの特徴をAIが自動で取得し、人間が理解できる情報として出力する技術を開発した。

 この技術を、医師の診断情報が付いていない前立腺病理画像(AI学習用の分割画像にして約11億枚)に対して適用したところ、AIは、世界中で使われているがんの診断基準のほか、「がん領域以外の間質の変化」というこれまで未知であった病変も見つけ出した。

 AIが見つけたこれらの要素が再発予測に役立つかを確認するため、日本医科大学病院、聖マリアンナ医科大学病院、愛知医科大学病院の三つの大学病院の15,000枚以上の前立腺病理画像(AI学習用の分割画像にして約960億枚)を用いて検証した。その結果、現在世界中で使用されている前立腺がんの診断基準よりも高い精度で再発予測ができることが分かり、AIが見つけた特徴と病理医の診断を組み合わせると、さらに予測精度が上がることも分かった。

 本研究成果は、高精度ながんの再発予測法として活用できるほか、開発された技術は、画像から新たな知識を獲得するための自動解析手法として役立つ。また、ときにはブラックボックスともいわれるAIだが、本技術では人間が理解可能な情報を引き出せるため、医療において安心して使用できるAIの実現に貢献するものと期待できる。

論文情報:【Nature Communications】Automated acquisition of explainable knowledge from unannotated histopathology images

この記事が気に入ったらおねがいします。

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。