東京大学生産技術研究所の酒井雄也講師らの研究グループは、コンクリートがれきと廃木材を粉砕、混合して新たな土木建築材料を開発することに成功した。再生過程で新たなセメントが必要ないうえ、副産物も発生せず、大量に発生するコンクリートがれきの循環利用に期待が持てそうだ。
東京大学によると、研究グループはコンクリートがれきと廃木材を粉砕、混合したうえ、加熱しつつ圧縮形成することでコンクリートと木材が融合した新土木建築材料を完成させた。このリサイクルコンクリートは従来のコンクリートに比べ、曲げ強度が数倍高い特性を持つ。
コンクリートと木材を融合させたのは、木材の成分の1つであるリグニン。リグニンは多くの植物に含まれることから、廃木材の代わりに野菜や落ち葉などで実験したところ、コンクリートを接着できることが確認できた。
コンクリートがれきは国内で年間約3,500トン発生している。このため、古くからリサイクル材料の開発が進められ、リサイクル率は98%に上る。しかし、そのうちの9割程度は路盤材料として道路建設の際、舗装面の下に埋められているだけで、循環を理想とするリサイクルに到達していない。
コンクリート製造の際にはセメントが必要になるが、セメントを作るときに多くの二酸化炭素が発生する。このため、地球温暖化防止の面からもがれきの循環利用の必要性が叫ばれていた。
参考:【東京大学 生産技術研究所】がれきから土木/建築材料へ、植物がコンクリートを蘇らせる ~セメント不要、副産物なしの循環利用を実現~