県立広島大学生命環境学部の八木俊樹教授と近畿大学理工学部の西山雅祥准教授は、鞭毛(※1)で運動する単細胞生物の緑藻クラミドモナスの欠陥で動かなくなった細胞に深海並みの高水圧をかけたところ、動きだすことを突き止めた。八木教授らはヒトの不妊治療など医療に応用できるとみている。
県立広島大学によると、クラミドモナスはヒトの精子と同様に、鞭毛を使って水中を泳いでいる。鞭毛に欠陥が出て泳げなくなったクラミドモナスに深海6,000メートル級の水圧をかけたところ、泳ぎだす様子が確認された。この高水圧をかける顕微鏡は西山准教授が開発し、八木教授がそれを使って研究を監修した。
ヒトの体内で鞭毛が動かなくなると、さまざまな障害が引き起こされる。精子の鞭毛だと不妊症、気管だと慢性気管支炎、大脳だと水頭症を引き起こすことがある。人の鞭毛はクラミドモナスとほぼ同じ仕組みで動いていることから、八木教授らは水圧で動きを取り戻すことを医学的に応用すれば、不妊症の解決などに活用できる可能性があるとみている。
教授らは引き続き共同研究を進め、新たな医療技術の開発を目指すことにしている。