2020年3月30日、東京大学、九州大学など旧帝国大学7校と国立情報学研究所は、文化庁、授業目的公衆送信補償金等管理協会に対し、授業目的公衆送信補償金制度の早期施行を求める要請書を提出した。新型コロナウイルス感染症を防ぐため、対面授業からオンライン授業へ切り替える大学が増えているが、オンライン授業の実施には著作物の許諾を得る必要があるためで、早急に新制度の施行期日を定める政令制定の準備に入るよう求めている。

 九州大学などによると、学校教育の教材として授業で使う写真や文章の著作権は、例外として著作権者の許諾なしに自由に使えることになっているが、印刷物としてコピーしたり、インターネットを通じて利用したりする場合、個別に許諾を得なければならない。

 2018年5月に成立した改正著作権法で、学校の設置者である学校法人などが指定管理団体に補償金を支払い、同団体が著作権者に資金分配する新制度が導入されることになった。授業目的公衆送信補償金等管理協会が文化庁から管理団体に指定されたが、利用者と権利者の利害調整に手間取り、新制度の施行期日が決まっていない。

 文化庁などは緊急避難措置として著作物の利用に格別の配慮を求める文書を著作権管理事業者に要請しているが、九州大学などは4月中に正規の手続きで利用が可能になるようにしてほしいと求めている。

参考:【東京大学】新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた「授業目的公衆送信補償金制度」の早期施行について

大学ジャーナルオンライン編集部

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