東京大学と経団連が合同で産学連携の「ベンチャー育成会議」を設立し、事業化を促進させる計画を発表しました。
日本は、アベノミクス推進により徐々に経済状況に活気が戻りつつあるものの、米国等と比べてITを中心とした新成長分野の開拓、雇用創出や産業育成につながるイノベーションが低調だと懸念されています。これについて経団連は、大企業がリスクを恐れて、ベンチャー企業への投資に消極的になっていることを指摘し、更なる日本の経済成長の為に大企業とベンチャー企業、大学、ベンチャーキャピタルが相互に連携し、多くの新興企業を創出する「ベンチャー・エコシステム」の構築を目指しています。ちなみにベンチャー・エコシステムとは、複数の主体がパートナーシップを組み、互いの資産を生かし、広く共存共栄するさまを言います。
東京大学は、起業家人材教育やベンチャーキャピタルの設立などを早期から進めており、2015年に東京大学発のベンチャー企業の時価総額は計 1 兆円を超え、出資者や関連する教員などを含め、国内で最もベンチャー企業の支援要素が充実していると言われています。
今回設立された、東京大学と経団連との育成会議では、主に2つのテーマについて議論が進められる予定です。一つ目は、優れた技術を持つ大学発ベンチャー企業に対する、製品・サービスが確立する前の段階での大企業との連携方策です。双方が出会うイベントの実施、大企業による投資以外の多様な連携(事業化に必要な知財ポートフォリオの拡充支援、人材派遣、メンタリング、調達等)について検討しています。二つ目は、企業・大学の共同研究成果を活かしたベンチャー企業の創出に向けたスキームです。優れた共同研究成果を基に、大学と大企業が連携してベンチャー企業を設立する(大企業からのカーブアウト等)方策が必要だと考えています。