東北大学付属図書館で、ドイツの哲学者ヴィンデルバント(1848-1915年)の直筆ノート20冊が見つかりました。ヴィンデルバントは新カント派西南ドイツ学派の中心人物で、哲学史家としても世界的に名を知られています。ヴィンデルバントの手稿は第二次世界大戦の空襲で焼失し、ドイツでもほとんど残っていないことから、哲学史の研究者にとって極めて重要な資料になりそうです。
東北大学によると、ヴィンデルバントの手稿は2015年5月、蔵書目録のデータベース化事業を進めていた際、地下書庫で偶然に発見しました。ヴィンデルバントが教授として在籍し、東北大学と学術交流のあるハイデルベルク大学の協力を得て中身を調べたところ、直筆であることが確認されました。
ノートの内容は、哲学、哲学史、心理学に関する講義ノートやメモ、著作の草稿とみられます。これらのノートは、第一次世界大戦後の1926 年、ドイツの書店を通じて 135 円 50 銭で購入され、東北大学にもたらされたものであることも分かりました。
ノートの内容は、哲学、哲学史、心理学に関する講義ノートやメモ、著作の草稿とみられます。これらのノートは、第一次世界大戦後の1926 年、ドイツの書店を通じて 135 円 50 銭で購入され、東北大学にもたらされたものであることも分かりました。
ヴィンデルバントはチューリッヒ、フライブルク、ハイデルベルクの大学で教授を務めました。日本で1902年、『哲學史要』が翻訳出版されるなど、哲学や哲学史に関する多数の著述があり、哲学の発展に大きく寄与しました。
2015年が没後100年に当たることから、ドイツ各地で記念のイベントが開かれました。3月にハイデルベルク大学で開催された没後 100 年記念シンポジウムに携 わったペーター・ケーニヒハイデルベルク大学教授は「遺稿について何も分からなかったことはシンポジウムでも残念だっただけに、日本で直筆ノートが発見されたという知らせにとても喜んでいる」とコメントしています。