2020年9月7日、英語外部試験スコア検索サイト「ヨンナビ」を運営する豊島継男事務所は、2021年度の私立大学一般選抜における「英語外部試験」の利用状況(注:8月29日時点)をホームページに公開した。利用大学数、受験者数が顕著に増加している英語外部試験の現状とは。
2020年度入試では、私立大学一般入試の志願者数は14年ぶりに減少した。しかし、受験生の出願回避により私立大学全体で9.2%減となった「大学入試センター試験利用方式」とは対照的に、「英語外部試験」を利用する選抜は、実施大学数・志願者数とともに過去最高を記録。全私立大学の31.5%にあたる184校が実施し、志願者は17.3%増えた。
2021年度、一般選抜(大学入学共通テスト利用方式を含む)で「英語外部試験」を利用する選抜を実施するのは、全私立大学の35.7%にあたる209校。東京地区・近畿地区では、ともに49.6%の私立大学が利用する状況になっている。ただし、全国で38校が新規利用を決めた一方、大学入学共通テストで英語外部試験の利用が中止となった影響もあり、利用を中止した大学(北海道科学大・学習院大・大阪学院大など)や、導入を2022年度以降に延期した大学も少なくない。
利用状況を選抜方式別に見ると、一般選抜で利用する大学が183校(全私立大学の31.3%)、大学入学共通テスト利用方式で利用する大学は81校(同13.8%)、一般選抜でも大学入学共通テスト利用方式でも利用する大学が56校(同9.6%)になっている。学部系統別に見ると、文系学部の実施が中心であること、国際・外国語と文・人文・教養・心理の2系統の実施率が高い状況に変化はない。
利用方法別に見ると、受験生の取得している級・レベル・スコアに応じて「得点換算する」大学が最も多く(48.3%)、以下、「加点する」23.9%、「出願要件とする」21.5%、「英語免除または満点換算する」16.7%、の順になっている。例外も少なくないが、トップ校・難関校・上位校の中には、英語外部試験を「出願要件」として、一般選抜の中で別枠とした選抜を実施する大学が多い。
利用できる英語外部試験は「英検」が最も高く98.6%、以下「GTEC-CBT」86.1%、「GTEC」81.3%、「TEAP」77.5%、「TOEFL」77.0%、「IELTS」74.6%、「ケンブリッジ英検」62.7%、「TEAP-CBT」60.3%の順になっている(「TOEIC」は未集計)。英検の利用率が最も高い状況に変化はないが、他の英語外部試験も、2020年度に比べてすべて10%以上利用率が上昇していることが注目される。
2021年度入試は、コロナ禍の影響に加え、新入試制度で志願状況が推測しにくく、受験生はもちろん進路指導を担当する教員も情報不足の状況に置かれている。豊島継男事務所は、『ヨンナビ – 2021年度 英語外部試験<スコア別>利用可能大学検索』と連携し、大学入試に関する有益な情報を随時発信し、受験生や進路指導の先生方を応援していく。