ソフトボールで投手が投げたボールの球速が同じでも、ゆっくりとしたフォームで投げると打者が振り遅れるメカニズムを、名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士後期課程の髙御堂良太さん、総合保健体育科学センターの横山慶子准教授、山本裕二教授が解明した。打者が以前の経験や知識に基づき、ゆっくりしたフォームで投げると球速が遅いと錯覚するためと結論付けている。
名古屋大学によると、髙御堂さんらはソフトボールの投手の投球動作を最大で20%増減させた映像をソフトボール経験者に見せ、投じられるボールの速さを予測させたほか、投球動作に変更を加えない映像と変更した映像を比較してどちらが速いボールが来るか回答してもらい、映像で投げられたボールに合わせてバットスイングしてもらった。
その結果、打者は投手の投球動作が速いほどより速いボールが来ると予測していることが分かった。さらに、同じ速度のボールを見ても、事前の投球フォームがゆったりしていると、実際より遅いボールが来ると予測していた。このため、映像に合わせてバットスイングしても、投手の投球動作がゆっくりしていると振り遅れる傾向が出た。
人間の脳は不確実な状況にあっても過去の経験や知識に基づいて予測している。髙御堂さんらは投球動作がゆっくりしていると遅いボールが来ると錯覚し、結果的に振り遅れる現象が発生したとみている。