国立がん研究センターの中山富雄社会と健康研究センター部長らが東京大学と共同で胃がんの内視鏡検診について、シミュレーションで費用対効果を調べたところ、50歳で開始し、75歳もしくは80歳まで3年ごとに実施するのが最も優れていることを突き止めた。
中山部長らは日本人の胃がんリスクと死亡率を反映したシミュレーションモデルを構築し、胃がん内視鏡検診の開始年齢と終了年齢、受診間隔について、費用対効果で評価した。危険因子として喫煙率、ヘリコバクター・ピロリ菌感染率を組み込み、検診は内視鏡のみ、発見された病変は切除するとしている。
それによると、費用対効果で最も優れていたのは、開始年齢が50歳で、終了年齢が75歳もしくは80歳、受診間隔3年ごとの組み合わせだった。国立がん研究センターの現行ガイドラインに規定されている50歳開始、終了年齢なし、3年ごとの受診より費用対効果で優っていた。
国立がん研究センターは2014年版ガイドラインを発行し、それに沿った受診を推奨しているが、費用対効果の視点は入っていない。米国では対象年齢や受診間隔について費用対効果を含むシミュレーションモデルを作成して最適となる条件を周知している。日本でも限られた医療資源を有効活用するため、米国と同様の取り組みが求められていた。