東北大学大学院経済学研究科 高齢経済社会研究センターの吉田浩教授らは、厚生労働省が毎年発表する「都道府県別の合計特殊出生率」について、「全国の合計特殊出生率」と計算方法が異なるため、両者は単純に比較できないことを指摘。厚生労働省が公表した2015年の合計特殊出生率について、計算方法の問題点を改善し、再計算した都道府県別の合計特殊出生率を公表した。
合計特殊出生率は、15歳から49歳までの年齢別出生率(母の年齢別の出生数をその年齢の女性人口で割った値)を合計することによって計算される。厚生労働省の全国の合計特殊出生率の計算方法が、出生数、女性人口とも、外国人を含まない日本人のみのデータを用いて計算されてるのに対し、都道府県別は、出生数は日本人のみのデータ、女性人口については資料の制約から外国人を含む総人口のデータを用いている。
このような計算方法の違いにより、全国と都道府県別の合計特殊出生率は単純に比較できないため、吉田教授らは、全国値と比較できる2015年の都道府県別の合計特殊出生率を再計算した。その結果、厚生労働省の計算で全国値1.46以下とされていた14都道府県のうち、茨城県・山梨県・兵庫県の合計特殊出生率は、全国の値を上回り、さらに、都道府県ごとの順位も大きく変動。厚生労働省の公表値で第10位だった福井県は第6位、第14位の長野県は第11位、第27位の愛知県は第22位、同じく第27位の岐阜県は第19位という結果になった。
吉田教授らの指摘は、2015年第189回国会でも取り上げられ、政府は、今後、高齢経済社会研究センターにならった算出方法に修正する旨を答弁した。