大手化学メーカーの花王と京都大学は使用済み紙おむつの炭素化リサイクルシステム確立に向け、1月から愛媛県西条市で実証実験を始めた。使用済み紙おむつを炭素素材に変換することで二酸化炭素排出量削減に貢献するのが狙いで、2025年以降にリサイクルシステムの社会実装を計画している。
花王によると、花王と京都大学は回収前に使用済み紙おむつを炭素化する装置を開発する。装置は低温反応で短時間に効率よく使用済み紙おむつを炭素化し、殺菌・消臭しながら、体積を減らすのが特徴。
当面は西条市の介護施設で発生するごみの量や作業量など現場の課題を確認したうえで、装置が仕上がる4月以降に西条市の保育施設に設置して使用済み紙おむつを炭素化して回収する。体積が大幅に減るため、回収頻度は月に1、2回で済む見通し。
回収した使用済み紙おむつは保育施設の園庭で植物の成長促進に活用するほか、活性炭など他の炭素素材への変換を目指して研究を進める。
使用済み紙おむつは保育施設や介護施設、病院などで大量にごみとして出るが、回収後は焼却処理され、二酸化炭素が排出されていた。花王は二酸化炭素の排出抑制に役立つとともに、介護士や保育士、保護者らの負担軽減につながると期待している。今回の実証実験で得た知見は国内だけでなく、ごみ問題が深刻化している東南アジアなどで展開し、問題解決に役立てる。