文部科学省は、2016年度から首都圏など大都市部への大学入学者集中を解消するため、私立大学への補助金が不交付となる大学定員超過率の基準を厳格化することを決め、日本私立学校振興・共済事業団へ通知しました。さらに2019年度からは超過入学者数に応じ、学生経費を減額します。地方からの学生流出を食い止める地方創生策の1つですが、地方はすでに人口減少で危機的状況を迎えているだけに、遅きに失したと指摘する声も上がりそうです。
通知によると、入学定員超過率は現在、定員8,000人以上の大規模校で1.20倍以上、それ以外の大学で1.10倍以上となっていますが、これを大規模校1.10倍以上、定員4,000人以上、8,000人未満の中規模校1.20倍以上に基準を厳しくします。超過率の変更には経過措置が設けられ、2018年度までの3年間で段階的に実施されます。具体的には2016年度が大規模校1.17倍以上、中規模校1.27倍以上、2017年度が大規模校1.14倍以上、中規模校1.24倍以上となります。定員4,000人に満たない小規模校の超過率は2018年度まで据え置きます。超過率1.1倍となっている医、歯学部は基準を変更しません。
学生経費は2019年度から入学定員充足率が1.0倍を超える場合、減額とします。逆に充足率が0.95倍以上、1.0倍以下となったときは、一定の増額措置を予定しています。
文科省のまとめによると、大学の入学定員超過は2014年度、全国で約4万5,000人に達しました。このうち、7割に当たる約3万1,000人が大、中規模校で、8割に当たる約3万6,000人が東京、大阪、名古屋を中心とした三大都市圏に集中しています。地方では若者の人口流出により人口減少が加速していることから、大都市圏への学生流出に歯止めをかけ、地方創生実現の助けとするため、文科省は基準の厳格化に踏み切りました。