博士後期課程の学生に対する生活費相当額支援や博士課程修了後のポスト接続などを盛り込んだ国の支援事業が東北大学、東京大学、兵庫県立大学、立命館大学など全国47の国公私立大学で実施されることが決まった。2021年度政府予算の成立後に実施に移す。
文部科学省によると、この事業は「科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業」。博士後期課程の学生に対し、処遇向上に向けて生活費相当額(180万円以上)の支援を含むフェローシップの創設と、博士課程修了後のポスト接続などを全学的に実施する大学に文科省が補助金を支給する。
事業は大学や地域の強みを生かしたイノベーションの創出が見込まれる人文・社会科学を含めた幅広い分野から大学側が提案するボトムアップ型と、人材ニーズが高まる分野として国が指定した情報・AI、量子、マテリアルの分野指定型に分けて公募した。
その結果、文科省はボトムアップ型37件、382人、分野指定型の情報・AI17件、270人、量子18件、259人、マテリアル10件、154人の合計82件、1,065人を採択した。採択を受けた国公私立大学数は合計47機関となった。
博士後期課程の学生は先端研究の担い手であると同時に、次代のイノベーション創設を担う貴重な存在と考えられているが、日本では博士後期課程の経済的に不安定な立場や将来のキャリアパスが不透明なことから、進学する学生が減少し、博士号取得者も主要国の中で唯一減少している。