東日本大震災から10年を迎える中、宮城県と福島県の被災者にコロナ禍のストレスが目立つことが、東北大学大学院経済学研究科高齢経済社会研究センターの吉田浩教授らの調査で明らかになった。研究グループは被災で住み慣れた土地を離れ、人と人の結びつきが弱くなったことが影響したとみている。
調査は2020年12月、岩手、宮城、福島の被災3県と東京都、広島県に暮らす1400人を対象に実施、コロナ禍でのストレスの度合いを尋ねた。
それによると、高いストレスを受けている人の割合は岩手県14.9%、宮城県19.6%、福島県19.5%、東京都13.7%、広島県15.0%。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年に厚生労働省が実施した同種の調査では、岩手県11.6%、宮城県11.3%、福島県10.8%、東京都10.8%、広島県10.1%で、5都県ともコロナ禍でストレスが高まっているが、宮城、福島両県の高まりが特に目立っている。
宮城、福島の両県では、「一般に人は信頼できると思うか」との問いに対し、「全くそう思わない」「あまりそう思わない」との回答が22.9~23.6%に達している。これに対し、他の3都県は14.0~20.7%と低く、宮城、福島の両県で地域住民への信頼が薄いことが分かった。
震災後の転居率は岩手県が5.7%なのに対し、宮城県は9.1%、福島県は9.3%と高いのが特徴。研究グループはその結果、地域住民との結びつきが希薄になり、コロナ禍のストレスを強く感じているのではないかとみている。