新型コロナウイルスの感染を避けたい気持ちが外国人を受け入れたくないという気持ちと関連していることが、大阪大学大学院人間科学研究科の三浦麻子教授、山縣芽生大学院生、寺口司招聘研究員らの調査で分かった。ただ、日常的に外国人と交流する機会を多く持つことがその気持ちを緩和する可能性も示されている。
大阪大学によると、調査は2020年3月、クラウドソーシングサービスの登録者を対象にウエブ上で実施、コロナ禍に対する関心度や感染を避けたいという気持ち、日常的に外国人とかかわる機会などについて平均年齢38歳の男女612人から有効回答を得た。
有効回答を分析した結果、感染を避けたいという気持ちの強さが外国人を受け入れたくないとする気持ちと関連していた。感染への嫌悪や慢性的な病気に対する懸念が強いと、外国人のように日常生活でなじみがない存在に対し、ウイルスを持ち込み、感染リスクを高めると警戒し、排斥的になっているとみられる。
しかし、日常的に外国人と接する機会の多さは外国人を受け入れたいと考える気持ちの強さと関連していることも分かった。接触機会が多く、真の情報に触れることで外国人に対する差別や偏見が低減していると考えられる。
回答者個人の特徴に分けて分析すると、女性が男性より感染を避けたいという気持ちが強く、予防行動を多くとっていることが明らかになった。性別以外の特徴では顕著な差が見られなかった。
※本研究成果は、2021年3月20日に日本心理学会が刊行している学術誌「心理学研究」への採択が決定し、4月9日(日本時間)に著者最終稿をPsyArXivで公開した。より広範な議論へと繋げるためプレプリントサーバであるPsyArXivへ掲載した。