富士通研究所(川崎市、佐々木繁社長)と九州大学は、人間の好みを学習し、自ら成長するAI(人工知能)を用い、福岡県糸島市で移住希望者と移住候補地をマッチングさせる共同実験を始める。移住の際に思い通りの候補地が見つからず、満足できないことがしばしばあるが、
AIを活用することでより満足度の上がる移住マッチングシステムを構築する。
富士通研究所によると、実証実験ではAIが移住希望者から届く少ないデータをもとに徐々に成長し、移住希望者の最適の候補地を示すだけでなく、希望内容や希望者の好みを市の担当者に伝えられるようにすることを目指す。
このため、移住希望者の特性と好みの関係を数理技術でモデル化し、自律成長したAIがこのモデルに従って適地を紹介するようにする。提示された地域に対し、移住希望者が評価した結果をもとにAIが希望者の好みをさらに学習、自動で数理モデルを修正してより成長していくようシステム開発する。
糸島市は九州で人気の移住先の1つになり、移住相談が増加しているものの、希望者が適切な情報を入手できず、満足できないケースが見られることもある。適切な情報を提供するシステムとして移住希望者から得られたデータを学習するAIが候補と考えられている。しかし、移住者の意思決定にAIが学習可能なデータが少ないうえ、田舎暮らしを体験したことがない移住希望者が移住先への希望を正確に伝えきれていないことが課題となっていた。