九州大学 工学研究院の馬奈木 俊介主幹教授と武田 美都里特任助教、崔廷米フェローの研究グループは、別府市と共同して、ヨーグルト摂取後の温泉入浴の効果を検証した。

 本研究では、九州地方在住の健康な成人47名を、(1)ヨーグルト群(明治ブルガリアヨーグルトLB81低糖180gを毎日摂取)、(2)ヨーグルト+温泉群(同ヨーグルトを毎日摂取し、別府市の塩化物泉に2日に1回温泉入浴)、(3)対照群(いずれも実施しない)の3群に分けて、腸内細菌叢や排便状態への影響を調べた。

 その結果、ヨーグルト群では介入前に比べ介入後の腸内細菌叢の多様性が有意に高まり、さらにヨーグルト群およびヨーグルト+温泉群の両方で排便回数の増加が確認された。特にヨーグルト+温泉群では、排便状態の改善がヨーグルト群よりも顕著にみられた。

 これまで、ヨーグルト摂取や温泉入浴がそれぞれ腸内環境・健康に良い影響をもたらすことは報告されていたが、両者の組み合わせによる相乗効果については十分に検証されていなかった。本研究により、ヨーグルト摂取と温泉入浴の併用が腸内環境や排便状態をさらに改善する可能性が示され、予防医療や日常生活習慣の向上への応用、温泉地を活用した地域資源活性化にも寄与しうることが期待されている。

論文情報:【Frontiers in Nutrition】Dietary and environmental modulation for the gut environment: yogurt promotes microbial diversity while chloride hot springs improve defecation status in healthy adults

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。