北海道大学大学院農学院博士後期課程の坂口俊太郎氏、農学研究院の貴島祐治教授、三重県農業研究所の研究グループは、日照時間に反応せず、温度に反応して稲穂を出す北海道のイネ特有の非感光性を生かし、関東以南で7月初旬に収穫できる超早期米栽培が可能なことを見つけた。
イネは感光性という特徴を持ち、一般に夏至から日照時間が短くなる旧盆を過ぎないと稲穂ができない。このため、本州の品種を北海道で栽培すると、穂が出て花が咲く9月に気温が低すぎて十分な収穫を得られないことがある。ところが、北海道の品種は日照時間ではなく、温度をシグナルにして穂を形成する非感光性を持つ。
研究グループは札幌市と三重県伊賀市、宮崎県宮崎市で北海道由来の非感光性を持つ品種を栽培し、イネの遺伝子と生育特性を分析した。その結果、北海道の品種によく見られる穂ぞろいの不良やイネが成熟する前に最初の穂が出る異常が、早生化にかかわる形質と密接な関係を持ち、北海道より低緯度の伊賀市で栽培すると出現しにくいことを突き止めた。
研究に使用した非感光性のイネは2月下旬から3月上旬に種をまいて育苗できれば、7月前半に収穫を終えることが可能になる。研究グループは関東以南で酷暑が始まる前に稲刈りを終える超早期米栽培が可能になるとみている。