人文学向け電子テキストの国際ガイドラインに日本語のルビが導入された。東京大学大学院人文社会系研究科の下田正弘教授らが設置した国際組織TEI協会の分科会が、同協会に対して提案したもので、欧米圏主導で構築されてきた国際ガイドラインに初めて日本特有のセマンティクス(意味論)が導入された。

 ルビは、漢字などの脇に仮名などを小さく書き添えるもので、江戸時代以降さかんに用いられ、文学などの大衆化におおきく貢献してきた。明治以降、これがルビと呼ばれるようになった。

 TEI協会の国際ガイドラインは人文学の研究対象となる資料に内在する多様な構造をデジタル媒体に記述する体系的な方法として構築され、事実上の国際規格になっている。しかし、特定の文化圏に依存しない記述方法を目指して策定されてきたため、ひとつの文化や伝統へ偏ることは避けられてきた。

 そこで下田教授らは仏教学のデジタル研究を通じて、東アジア及び日本語資料のもつ独自のセマンティクス(意味論)が固有の記述を持つべきことを主張し、国際標準化を推進。2016年、TEI協会内に東アジア・日本に関する専門分科会を設立し、その後も、日本におけるTEIの普及・研究活動をリードしてきた。ここで得た知見を活かして同専門分科会が提案した日本語ルビのセマンティクスの導入は、2021年2月25日に公開されたバージョンにおいて反映され、TEIガイドライン全体の基礎構造の中に組み込まれることになった。

 日本特有のセマンティクスが国際ガイドラインに導入されたのはこれが初めて。下田教授らは各国の文化や伝統の多様性を前提として人文学を進める重要な端緒になるとみている。

参考:【東京大学】人文学向け電子テキスト構築の国際ガイドラインに日本語セマンティクス(ルビ)が導入される(PDF)

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