北海道大学の河原純一郎特任准教授は中京大学の伊藤資浩氏と共同で、使用せずにそばに置かれている携帯端末が注意に及ぼす効果を測定した。その結果、画面を消した他人の携帯電話でも注意が阻害されることが判明。特に、普段は携帯電話を使わない人ほどこの影響が強い傾向があった。

 「歩きスマホ」などにより他の物事へ注意が行き届かずに生じる事故が多発している。しかし、日常生活ではメールの返事やSNSの通知などに関して、使用せずとも携帯端末に注意を向けていることがあるとされる。今回の研究では、実際に使用せずとも、単に携帯端末が置いてあることで、注意が損なわれるかどうかの検証、およびこの効果と利用頻度の関係の検討が行われた。

 実験参加者をスマホ条件と統制条件の2群にランダムに割り振り検証した。スマホ条件では、PCモニタの脇に実験者のスマホを置き、実験参加者にモニタ上の多数の文字の中から標的文字を探すよう求め、その探索時間を計測した。統制条件では、スマホの代わりに同サイズのメモ帳を置き、同様の実験を行った。その後、全参加者に普段のスマホ使用頻度や愛着について質問した。

 その結果、標的を探す時間は統制条件よりスマホ条件で長くかかった。これは、単にスマホが置いてあるだけで自動的に注意が向いてしまったためと考えられる。しかし、この効果は使用頻度が低い人に強く起こり、スマホを普段からよく使用する人はかえってスマホの置かれた側の標的に気づきやすいことも分かった。これにより、スマホの存在を無視したり、注意したりする機能に個人差があるとしている。

北海道大学

産業界や地域との連携を強固に「北海道大学ならではの実学」が世界をリード

北海道大学の起源は、1876年に設立された札幌農学校に遡る。長い歴史の中で、「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」及び「実学の重視」という基本理念を掲げ、培ってきました。 この理念の下に国際的に通用する高度な学問的素養をもち、的確な判断力とリーダ[…]

中京大学

国際社会で活躍できる幅広い教養・深い知識・実践力を兼ね備えた人材の育成

10学部20学科を擁する全国有数の総合大学。教育力や研究力の向上、社会連携、国際化、卒業生連携の強化を推進しています。自ら考えて行動することのできるしなやかな知識人や、学術とスポーツのさらなる殿堂を築き上げ、実社会で活躍できる能力や実践力、豊かな人間性を身につ[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。