東京一極集中を是正するため、東京23区内にある大学の地方移転などを検討する政府の有識者会議が、東京都内で初会合を開いた。東京23区内の大学新増設抑制策や地方大学の振興策についても意見を交わし、5月ごろに中間報告を取りまとめる。
有識者会議は山本幸三地方創生担当相の私的諮問機関で、メンバーは地方自治体の首長や、気仙沼ニッティングの御手洗瑞子代表取締役社長など経済人、大学教員ら13人。座長に坂根正弘コマツ相談役、座長代理に元総務相の増田寛也東京大学公共政策大学院客員教授が就任した。山本地方創生担当相は「地方における雇用創出や若者の就業支援についても総合的に検討したい」と述べた。
有識者会議は第2回会合で大学関係者や自治体関係団体、第3回会合で経済団体から意見聴取したうえで、論点整理を進め、具体案を議論することにしている。
総務省の2016年人口移動報告によると、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県から成る東京圏は、転入者が転出者を上回る転入超過が21年連続で続いている。三大都市圏のうち、大阪圏と名古屋圏は転出超過に入っており、東京一極集中が加速しているのが実情だ。
政府はその背景に、大学進学による若者の上京が影響しているとみて、東京の大学の地方移転を促すとともに、新増設を抑制、地方大学の振興を図る必要があるとしている。全国知事会も2016年末に東京の大学新増設抑制を求める緊急決議を採択し、政府に対策を要請していた。