この研究により、頭足類のきわめて高度な神経系の起源となる可能性のある、さまざまな特徴が明らかになりました。タコのゲノムにはいくつかの大きな遺伝子群が存在し、これらの遺伝子群は、他の動物においても脳の発達制御に関わっていますが、タコにおいては非常に大きな広がりをみせているということです。またタコのゲノムの半分近くがトランスポゾンと呼ばれる可動遺伝因子で占められており、これは動物界において含有量の最も多いケースとなります。トランスポゾンは「動く遺伝子」とも呼ばれ、ゲノムの中を独立して動き回ることができるDNA単位です。研究員らは、このトランスポゾンがとりわけタコの神経系で活発に動いていることを発見しました。こうした特徴が、タコの複雑な神経系の発達に関わっていると考えられます。
全ゲノムが解読されても、多くの遺伝子の機能や複雑な神経系のメカニズムはまだ謎に包まれており、今後の研究が期待されます。
出典:【沖縄科学技術大学院大学】タコのゲノムを解読する