東北大学の海保邦夫教授と米国アマースト大学のデイビッドジョーンズ博士らは、最初の生物大量絶滅の原因が大規模火山噴火であったことを明らかにした。
これまで起きたとされている5度の生物大量絶滅のうち、後半の3つは、3度目、4度目が大規模火山噴火、5度目が小惑星衝突により引き起こされた大量絶滅であることがわかっていた。今回の発見により、未解明だった最初の2つの原因のうちの1つを解明できたことになる。
海保教授らは、最初の大量絶滅が記録された中国とアメリカの地層を調べ、水銀の濃集を発見した。水銀の濃集は、別の時代に起きた3回の大火山噴火時にも認められていることから、今回の濃集も同様に大火山噴火により放出され、堆積したものと考えられた。
大火山噴火が起こると、成層圏に大量の二酸化硫黄ガスが入り、硫酸化する。地球を覆った硫酸は太陽光を反射するため、地球規模の寒冷化につながる。この時期の前後の地球は氷床がない温暖期だったが、この時期のみ氷床が見つかっていることからも、今回わかった大規模火山噴火が寒冷化を招き、大量絶滅が引き起こされたことが示唆された。
これで原因が未解明な大量絶滅は残り1つとなった。さらなる発見や、より詳しい絶滅プロセスの解明が待たれる。
論文情報:【Geology】A volcanic trigger for the Late Ordovician mass extinction?:Hg data from South China and Laurentia