Social science: Mobile phone data may improve targeting of humanitarian aid
携帯電話データで訓練した機械学習アルゴリズムが、貧困のパターンを認識して、最も貧しい人々への援助の優先順位付けに役立つ可能性がある。このことを明らかにした論文が、Nature に掲載される。アフリカのトーゴでは、この方法を用いて、最も支援を必要としていると思われる人々に数百万ドルの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)支援金を、従来の配布方法よりも高い効率で配布することができた。
COVID-19危機を受けて、世界各国の政府や人道支援組織が、15億人以上に対して社会支援を行っている。しかし、最も支援を必要としている人々を迅速に特定し、対象者を絞り込むという課題は解決されていない。今回、Joshua Blumenstockたちは、貧困を測定できる機械学習アルゴリズムを使って、この課題に取り組む方法を開発し、実装し、検証した。トーゴの最も重要な緊急社会支援プログラムは、最初のCOVID-19患者が発見された直後の2020年4月に施行され、こうした機械学習アルゴリズムを用いて支援金を配布した。
Blumenstockたちの人工知能を用いた方法は、トーゴ政府が検討した他の地理的な対象者絞り込み方法と比較して、誤って除外される対象者(支援を必要とするが、政府の従来の支援金配布プログラムから除外されてしまった人が占める割合)が4~21%減少した。これに対して、トーゴに社会登録簿があると仮定して(実際にはトーゴに社会登記簿はない)、それを使用する他の方法と比較した場合には、誤って除外される対象者が9~35%増えた。
Blumenstockたちは、今回の結果は、これらの方法を現実世界の危機シナリオにおけるスケールで実装した場合に発揮される能力を実証していると述べている。
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「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
※この記事は「Nature Japan 注目のハイライト」から転載しています。
転載元:「社会学:携帯電話データを利用して人道支援の対象者絞り込みの精度を高める」