愛媛大学の羽鳥儀樹特定研究員、プリンストン大学のマイケル・ストラウス教授、国立天文台の青木 賢太郎シニアサポートアストロノマーらの国際研究チームはハワイに設置されているすばる望遠鏡で得られた観測データから新たに48個のDOGと呼ばれる銀河を発見しました。銀河の中心部には超巨大ブラックホールが存在すると考えられており、銀河やブラックホールの進化を知る重要な手掛かりが得られたことになります。
銀河がいつ、どのように形成され、成長していったのかは現代の天文学の最重要のテーマの一つです。近年の研究ではその中心部には太陽の10万倍から10億倍もの質量を持つ超巨大ブラックホールがあることや、銀河全体の質量とブラックホールの質量が大きく関係していることが分かってきています。これは銀河とブラックホールがお互いに影響を及ぼしながら成長している可能性を示唆しています。 銀河の中にはDOG(Dust Obscured Galaxy)といい、塵に覆われていてこれまで観測が困難だったものがあります。DOGは成長途上にある銀河だと考えられており、銀河とブラックホールの相互作用が互いの成長にどのような影響を及ぼしているかの手がかりが得られるのではないかと期待できます。
DOGの観測に用いられたのは2012年にすばる望遠鏡に搭載された超広視野カメラ(HSC)です。満月9個分の広さを一度に撮影でき、高い感度も備えています。研究チームはこのHSCの観測データからDOGの探査を行いました。その結果、新たに48個のDOGを発見することに成功しました。
今後はこれらのDOGに対してX線を用いる方法など、別の観測を併用することで中心に潜んでいるブラックホールの性質も詳細に調べていくとしています。また、今回得られた観測結果や今後得られるデータは銀河の進化以外にも未だ解明されいていない様々な宇宙の謎に迫る手掛かりになると期待されています。