子どもを持たない人の数が過去30年の間に全国で男女とも3倍近くに増えていることが、東京大学大学院医学系研究科のピーター上田客員研究員ら国際保健政策学教室の調査で分かった。
国際保健政策学教室は国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査を使って1943~1948年生まれと1971~1975年生まれの人が40歳時点で何人の子どもを持っているかを調べ、所得や学歴、性別などで分析した。
それによると、子どもを持たない男性は1943~1948年生まれが14.3%、1971~1975年生まれが39.9%、女性は1943~1948年生まれが11.6%、1971~1975年生まれが27.6%。男女とも3倍近くに増えていることが明らかになった。子どもの数も1人だけの人が増える一方、2人以上持つ人が減っていた。
学歴や収入と子どもの数を分析すると、男性はどの時代も収入が高いほど子供を持たない人が少なくなっていた。1943~1947年生まれを除いて大卒以上の学歴の人は子どもを持つ傾向が強かった。これに対し、女性は1956~1970年生まれだと大卒がそれ以外の学歴に比べて子どもを持つ人の割合が少なかったが、1971年以降の生まれになると学歴と子どもの数に差が見られなくなっている。
少子化は日本社会に深刻な人口減少を引き起こし、経済活動の停滞や地域の消滅などさまざまな問題の原因に浮上してきた。しかし、その背景については不明瞭な部分が多く、学歴や収入がどのような影響を与えているのかについては明らかにされていなかった。