国立の教員養成大学や総合大学教育学部の改革案を話し合う文部科学省の有識者会議は、統合や入学定員の削減などの検討を促す報告書をまとめた。国立大学の付属校に対しては、「エリート校」化して地域の公立校のモデルとなる役割を十分に果たしていないところもあるとし、多様な入学者選考の実施を求めている。
文科省によると、報告書は少子化による児童、生徒の減少が続く中、国立教員養成大学の機能や規模を見直す時期に来たとしたうえで、具体策として入学定員の見直し、都道府県境をまたいだ大学同士の統合、教員養成機能の集約、共同教育課程の設置を掲げた。
各校には地元自治体と協議して地域別の教員需要見通しをまとめ、2021年度末までに結論を出すよう求めている。
国立の教員養成単科大学は北海道教育大学、鳴門教育大学など11大学、総合大学の教員養成学部は広島大学、福井大学など33学部ある。入学定員は合計約1万1,000人で、卒業生の6割前後が教員に就職している。公立小中学校の教員採用数は2016年度で約2万3,000人だが、2022年度には約6%減り、以後も減少が続く見通し。
文科省が国立教員養成大学に規模縮小を求めるのは、2001年に出た「教員養成系大学・学部のあり方に関する懇談会」の報告書以来になるが、教員養成大学の縮小、統合には地元自治体や大学側の強い反発が予想される。