長時間労働がメンタルヘルスに悪影響を与えるといわれるが、残業自体ではなく、長時間労働による睡眠不足と不規則な食事がメンタルヘルスを害していることが、東京医科大学精神医学分野の渡邉天志医師、志村哲祥医師らの研究で明らかになった。

 東京医科大学によると、渡邉医師らの研究グループはヘルスケア事業のこどもみらいからストレスチェックの匿名化データ提供を受け、職業性ストレスや睡眠の状況、勤務時間に関する回答を分析した。

 その結果、長時間労働は心身のストレス反応に直接影響しないことが分かった。しかし、長時間労働が食事の不規則さや睡眠時間の短縮を招き、それらがうつや心身のストレス反応を引き起こしていた。

 研究グループは労働時間の短縮が実現しても、睡眠不足や不規則な食事が続けば症状が改善しないが、長時間労働が続いても睡眠時間が確保され、食事が規則正しく摂取できれば、メンタルヘルスへの影響を限定的な範囲に抑えられるとみている。

 ただ、今回の研究では因果関係の証明はできていない。研究グループは後続の研究で因果関係の解明を期待している。

論文情報:【International Journal of Environmental Research and Public Health】Long Working Hours Indirectly Affect Psychosomatic Stress Responses via Complete Mediation by Irregular Mealtimes and Shortened Sleep Duration: A Cross-Sectional Study

東京医科大学

大学ジャーナルオンライン編集部

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