文部科学省が大学院改革の柱の1つに位置づける教育改革プログラムの実施状況について調べたところ、複数専攻制や企業との共同カリキュラムなど一部項目の実施が20%を下回っていることが分かった。
調査は2015年10月から2016年1月にかけ、2014年度の実施状況について大学院を置く国公私立の全大学619校(学生募集停止中を除く)に電子メールで調査票を送り、すべて回収した。調査結果は中央教育審議会の大学院部会に報告された。
文科省の配布資料によると、教育改革の取り組みはほぼすべての項目で実施割合が増加した。実験・論文作成などの研究手法を身につける科目設置については72.6%が実施したと回答したのをはじめ、複数の科目などを通じて学修課題を履修するコースワークは51.2%、専攻、研究科を横断するコア科目の設置は43.2%、外国の大学院などでの教育研究機会の提供は40.8%が実施していた。
これに対し、研究室のローテーションは3.1%、企業や政府機関と協働でのカリキュラム構築は7.8%、複数専攻制は8.4%とまだ十分、浸透していなかった。教養科目の導入は18.9%、プロジェクトの企画やマネジメント能力を養う科目も26.7%にとどまり、文科省の期待通りに広がっていない。
5年一貫性教育の導入校や国立大学、入学定員の多い専攻では比較的、導入が進んでいるが、小規模校や私立大学では実施が遅れている。
中教審は2011年、グローバル化が進む新時代に向け、学生の質を向上させる体系的な教育が必要とし、各大学院に教育改革の実施を求める答申をしている。