2020年度に全国の私立大学で学内の給付型奨学金を受け取った学生が大幅に増えていることが、日本私立大学連盟の調査で分かった。2020年度はコロナ禍が始まり、保護者の家計が急変したり、アルバイトをできなくなったりして苦しむ学生が急増したが、そうした状況が結果に反映したとみられる。
調査は2021年12月から2022年1月にかけ、日本私立大学連盟が加盟の全国125校を対象に実施し、学内奨学金の支給額や支給人員などを集計した。
それによると、2020年度の給付型学内奨学金給付人員は学部学生14万6,726人、大学院生2万1,469人。前年度に比べ、学部学生は57.9%、大学院生は5.9%増えた。過去5年間で比較しても、圧倒的なトップだった。
給付総額は学部学生が302億884万円、大学院生が69億7,950万円。前年度に比べ、学部学生は0.7%減ったものの、大学院生は1.6%増えている。1人当たりの給付額は学部学生20万6,000円、大学院生32万5,000円で、前年度に比べて学部学生で37.0%、大学院生で4.1%少なくなっている。
このうち、増加が著しかったのが経済支援、家計急変名目での給付で、経済支援は給付総額が横ばいだったものの、給付人員が2.4倍に増加した。家計急変は給付総額が3.9倍、給付人員が6.1倍に急増している。
コロナ禍が学生の暮らしを直撃し、深刻なダメージを与えていたことから、各私立大学が広く浅く奨学金を給付して苦境に立たされた学生を救おうとしていたとみられる。
なお、近年増加傾向にあった派遣留学生名目での給付については、支給金額は前回比約22億円減(約86%減)、人員も約85%減と大幅に減少した。
※日本大学(学部学生数約6万8,000人、大学院学生数約2万7,000人)の休会に伴い、過年度データからも日本大学の数字を除外したデータを用いている。