大学4年生の6割強が大学院進学を希望し、進学を希望しない学生の4割近くが家庭の経済状態や奨学金返済に対する不安を理由に挙げていることが、文部科学省の全国調査で分かった。調査結果は大学生や大学院生らの修学支援策を検討する文科省の有識者会議初会合で報告された。
調査は北海道大学、東京大学、京都大学、東京都立大学、慶應義塾大学など全国15の国公私立大学に在籍する大学4年生を対象に7、8月に実施し、1,434人からの有効回答を集計した。
それによると、大学院への進学を希望する学生は全体の62.3%。人文・社会系の学生は25.8%にとどまったものの、理工・農学系の学生は84.5%に達した。奨学金利用の有無で進学希望に差は見られなかった。
大学院への進学希望を持たない学生のうち、54.6%は「過去に進学を考えたことがある」と答えた。進学を希望しない理由では「大学院で学修・研究を深めたいという気持ちがない」「早く社会に出て仕事の経験を深めたい」とする声が多かったが、38.1%は家庭の経済状態や奨学金返済に対する不安を挙げている。
大学院に在学中、授業料納付を免除され、修了後の収入に応じて変換できる制度があった場合、進学を希望するかどうかを尋ねたところ、27.2%は「進学の可能性がある」と答えている。
有識者会議は教育未来創造会議の第1次提言や政府の骨太方針2022で高等教育の修学支援新制度が提示されたのを受けて設置された。今後、中間所得層への支援強化などについて意見交換する。