京都工芸繊維大学の研究チームは、無給電状態で動作することができるファブリック型のタッチ/圧力センサを新たに開発した。このセンサは、導電性糸と絶縁性糸のみを用いて1回で編みあげることが可能なテキスタイル型圧力センサで、全体が糸のみから出来ているため通気性に優れ、軽量かつ柔軟、肌触りが良好であり、洗濯も可能。また、環境中に常時放散されている電磁波を利用してタッチセンシングと圧力センシングを行うため、無給電動作が可能であるとしている。
当該タッチ/圧力センサは、20mm×20mmのサイズでは約0.50gで、用いる糸によっても価格は変わるが、本研究で用いた糸での20mm×20mmサイズ1個あたりの材料費は約89円と安価であった。5層のニット生地のようなスペーサーファブリック構造をもち、表面および裏面のそれぞれが外側に絶縁性糸層、内側に導電性糸層が現れる2層ずつの編み構造からなる。中間には表面と裏面を接続しながらスペースを形成するスペーサー層がある。
編みあげた当該センサの表面をヒトの指で触れたときと押し込んだときのキャパシタ両端に生じる電圧を測定すると、指が非接触の場合には若干の電圧を出力し、指が触れると出力電圧が大きく増加、さらに押し込みで出力電圧の増加を認めた。さらに過度に押し込むと、上下の導電糸層がショートし、出力電圧は0.0Vとなった。すなわち、開発したセンサは、出力される電圧値の大小によりヒトのタッチと押圧を検出し、さらに過度の押込み状態も検出できる上に、外部電源からの電力供給が不要である。
このようなセンサは、例えば電気自動車や自動運転車などのハンドル用のハンズオン/オフ検知センサへの応用展開に好適であることから、ハンドルに装着した状態での出力電圧特性も確認し、良好な動作が期待できるとした。本成果は、自動車ハンドル用センサの省電力化や簡素化、ドライバーの快適性の向上に貢献することが期待される。