2018年5月25日、参議院の本会議で、2028年3月末までの10年間、東京23区の大学の定員増を認めないことなどを盛り込んだ「地域における大学の振興および若者の雇用機会の創出による若者の修学および就業の促進に関する法律案」が可決、成立した。これを受け、東京都の小池百合子知事はコメントを発表した。
この法律は地方の若者の修学・就業を促進させる目的で制定された。その中の第13条「特定地域内の大学等の学生の収容定員の抑制」において、「大学等の設置者又は大学等を設置しようとする者は、特定地域内(学生が既に相当程度集中している東京23区)の大学等の学部等の学生の収容定員を増加させてはならない」と規定。10年間の時限措置としている。
これまで反対を強く訴えてきた小池都知事は、記者会見で「遺憾である。国際競争が激しさを増す中、次の世代の人材育成、イノベーションの創出に重要な役割を担ってる大学に対して規制を行うことは、東京のみならず、我が国の将来に禍根を残すことで、強く懸念する。日本のパイの取り合いだけをやっているという教育のあり方、“地方創生”の名を借りて、教育論そのものを先送りにしてしまうというのは、いかがなものかと」「東京都知事でなかったとしても、このことについては、多分棄権してる類いの法律案」とコメントした。
また、付帯決議として「途中の年度において運用状況・効果を検証する」とあることから、東京都は今後、国に対し、①効果検証に当たっては明確かつ適切な指標や基準を設定すること ②客観的な第三者機関を設置し、速やかに効果検証を行うこと ③検証結果を踏まえて早期撤回を含めた必要な見直しを実施することを求めていくとした。