東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座の大須賀穣教授らのグループは、11,348人の遺伝情報と22の女性特異的な体質に関するWEBアンケートの結果を用いて大規模なゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、バストサイズや月経痛など女性特有の体質と関連の強い遺伝子領域をそれぞれ発見した。
まず、バストサイズが大きい傾向の人と小さい傾向の人とで異なる遺伝型の組み合わせが6番染色体のCCDC170、8番染色体のKCNU1/ZNF703と呼ばれる領域に存在することが明らかになった。特にCCDC170は乳がんの発症リスクとも関連が強いことが報告されている領域である。
また、月経痛の重い傾向の人と軽い傾向の人とで異なる遺伝型の組み合わせが、1番染色体のNGFと2番染色体のIL1Aと呼ばれる遺伝子領域に存在することも分かった。NGFは神経の成長に関わる遺伝子としてよく知られており、IL1Aは痛みや炎症を引き起こす炎症系サイトカインと呼ばれるタンパク質をコードし、月経痛の主な原因と言われているプロスタグランジンの生産を促すことが知られている。さらに、アンケートで月経中にある症状として「発熱」を選んだ人において、6番染色体のOPRM1と呼ばれる遺伝子領域に特徴的な遺伝型の組み合わせが存在することも明らかになった。
本成果で得られた結果をもとに、さらなる研究を進め遺伝因子と環境因子の全貌が明らかになることで、個人の体質に合わせた月経中の痛みや発熱などの改善の取り組みが可能になることが期待される。
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