東北大学は、喫煙と交通事故死亡の関連を調べ、その結果、男性では、たばこを1日20本以上吸うことは交通事故死亡のリスクを高める可能性があることがわかった。
喫煙は、がんや循環器疾患などによる死亡リスクを高めることが報告されている。一方、外因死との関連については転倒、 交通事故、窒息、火災といった不慮の事故、他殺、自殺などの死亡が含まれ、 交通事故による死亡のみと喫煙との関連を検討した研究は多くない。
また、運転中の携帯電話の使用は道路交通法で規制されているが、運転操作が不安定になる同様の状況が起こり得る喫煙に対しては規制がなく、喫煙状況と交通事故死亡との関連はほとんど検討されていない。
研究チームでは、喫煙と交通事故死亡の関連について検討すべく、1993年当時の茨城県内38市町村における基本健康診査受診者(40~79歳)97,078人を20年間にわたって追跡調査し、不備などを除く96,384人(男性33,018人、女性63,366人)のデータを解析した。
その結果、交通事故による死亡は、 男性のは非喫煙者では7,335人中31人、過去喫煙者では 9,115人中46人、1日20本未満吸う現在喫煙者では5,125人中29人、1日20本以上吸う現在喫煙者では11,403人中62人で、男性ではたばこを1日20本以上吸うことが交通事故死亡を高める可能性があることがわかった。
現在、日本では、運転中の喫煙は規制されていない。今回の研究結果は、交通事故死亡というこれまでと異なる観点からのたばこ対策を支持する結果となり、運転中の喫煙についても、対策を検討する必要があることを示した。
※女性は 喫煙者の人数が少ないこともあり、観察期間中の喫煙者の交通事故死亡を認めず、 統計解析を行うことができなかった。