文部科学省は、国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革に関する有識者会議報告書を踏まえ、国立の教員養成大学・学部等の特色ある好事例や先進的な取組等についてとりまとめた。
報告書には、「国立教員養成大学・学部等全体について」「カリキュラム、養成環境について」「質の保証、評価について」「大学教員について」「外部との連携について」「教職大学院について」「付属学校について」以上の7項目ごとに取り組みが紹介されている。
「カリキュラム、養成環境について」の取り組みには、千葉大学の「理論と実践の往還型教育実習プログラム」、島根大学の「地域とともに教師力を育てる1,000時間体験学修」、熊本大学の「教育学部における実践がた教員養成カリキュラム」が紹介されている。
島根大学の「地域とともに教師力を育てる1,000時間体験学修」は、2004年度から始まった学校・人・地域との関わりを充実させたカリキュラム。3年次後期の教育実習に並行し、島根、鳥取両県の教育現場で教員の仕事をサポートする体験(スクール・インターンシップ)を実施する。実際の学校現場や地域社会の活動に積極的に参加し、就職時の理想と現実のギャップを埋めるというもので、2017年度の受入団体数183、募集活動数387、学生参加活動数327、参加学生延人数1,818名。2016年度卒業生の教員就職率は66.9% (全国10位)だった。
「国立教員養成大学・学部等全体について」は、北海道教育大学 「へき地・小規模校教育プロジェクト」、奈良教育大学「双方向遠隔授業システムの活用による教員研修とつないだ教員養成の取組」など11大学の取り組みを紹介。
その中のひとつ、大分大学は、実践的な教師力育成に取り組んでいる。例えば、正規の授業として、学部教員と現場教員による指導のもと公立小中学校で実際に授業を行う「授業づくり実践講座」を実施。受講した学生の教採合格率は92%にものぼった。正課外でも教採スタートアップ講座、授業力育成講座、教育臨床講座のほか、千数百回に及ぶ充実した個別指導(模擬授業、場面指導、集団討論、 面接指導、体育実技、音楽実技、英会話・英語表現、論作文対策、願書添削)を行っている。