産業技術総合研究所(以下、「産総研」)と名古屋大学の共同研究チームは、新潟県の「糸魚川」地域での地質調査の結果をまとめた5万分の1地質図幅「糸魚川」を完成し、刊行した。

 日本の地質は「糸魚川-静岡構造線」を境にして大きく異なっているため、日本列島の成り立ちを考える上で重要な構造線とされている。また、構造線最北部の東側の北部フォッサ・マグナ地域は著しく隆起していると考えられているが、いつ、どのように隆起したのかは解明されていない。同地域は、地質学的に重要な意義を持つ地域にも関わらず、非常に急峻な山岳地帯のために詳細な地質調査が行われず、これまで詳細な地質図がなかった。

 そこで、同研究チームは、2012年から2014年にかけて、最北端の図幅となる「糸魚川」地域の地質調査を115日間行い、地層の種類や分布、地質構造の詳細を明らかにし、5万分の1地質図幅「糸魚川」としてまとめた。また、岩石の化学分析、火山灰の分析、微化石分析、フィッション・トラック年代計測を実施し、各地層の正確な区分や形成された年代を整理し、「糸魚川」地域の地質の成り立ちを解明した。また、これまでユーラシアプレートと北アメリカプレートとの境界が糸魚川-静岡構造線を通るとの説があったが、今回、「糸魚川」地域を含む最北部地域はプレート境界ではないことが明らかとなった。

 この図幅は産総研が提携する委託販売店より9月20日頃から委託販売を開始する。

参考:【産業技術総合研究所】日本を分断する糸魚川-静岡構造線最北部の謎が明らかに

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