順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科の村上晶教授、猪俣武範助教らの研究グループは、まばたきを12.4秒間我慢できない場合はドライアイの可能性があることを示し、英科学誌Scientific Reports誌(2018年9月7日付)に発表した。
ドライアイは日本に2,000万人、世界に10億人以上いると推測される最も多い眼疾患である。ドライアイに罹患すると、眼精疲労、眼痛、頭痛、自覚視力の低下などが見られ、集中力の低下を起こすことが分かっているが、ドライアイの症状は多岐に渡るため、現状では、ドライアイ確定の診断には至っていない。
そこで、同研究グループは、順天堂医院眼科外来を受診した患者(292例)を対象に、最大開瞼時間(まばたきをできるだけ我慢できる時間)の調査を行い、最大開瞼時間がドライアイのスクリーニング検査として使えるかを調べた。
その結果、最大開瞼時間は、ドライアイの診断で必須の検査である涙液層破壊時間(目を開いてから目の表面の涙の膜が破壊されるまでの時間)と正の相関を示し、ドライアイ患者では有意に低下していることが分かった。さらに、最大開瞼時間は、ドライアイ患者において有意に低下していることが明らかになった。最大開瞼時間が12.4秒以下の場合は、感度82.5%、特異度51.0%でドライアイを疑う可能性が高いことが示された。つまり、最大開瞼時間(12.4秒)という指標は、ドライアイの簡易なスクリーニング検査として有用であることを示した。