東京大学医学部附属病院女性外科の平田哲也講師、大須賀穣教授らは、卵子提供、胚提供、代理懐胎などの「第三者を介する生殖補助医療」と「出自を知る権利」に関する国内の意識調査を実施した。
晩婚化に伴って不妊に直面する夫婦は増加している。近年、生殖補助医療により、妻以外の第三者の卵子や子宮で妊娠をすることが可能となったが、倫理的な問題も問われている。現在、日本でこのような治療を行うことは事実上困難であるため、多くの患者が海外に渡航をして治療を行っている。この現状を踏まえ、第三者の卵子、子宮による生殖医療を国内で行うことについての可否などについて、国内の意識調査を行った。
今回、無作為に大規模なデータ収集を行うために、webアンケート形式で20歳~59歳の男女2500人より回答を得た。その結果、「第三者を介する生殖補助医療」や「出自を知る権利」に対する意識は、肯定的な意見が否定的な意見を上回った。ただし、その差は、回答者の性別、年齢、不妊経験の有無などに影響を受けていた。例えば、男女ともに、不妊経験のない群に比較して、不妊経験のある群で「認めるべき」と答えた人が多くいた。一方で、ほぼすべての質問において30%以上の人が「わからない」と答えていることから、社会的合意を得るためには、知識の提供と議論の活発化が必要だと考えられる。
本研究成果を踏まえて、早期の法整備やルール作りにつながることが期待される。
論文情報:【PLOS ONE】A survey of public attitudes towards third-party reproduction in Japan in 2014