野球で心理面や神経面の障害から暴投を連発する送球イップスの経験者が、自らの思考にとらわれる傾向が強いことが、立命館大学大学院人間科学研究科の井上和哉助教らの研究で分かった。
立命館大学によると、井上助教らは中学生から社会人までに野球を経験した292人を対象に質問紙調査を実施、回答を分析したところ、イップスの症状が強い選手は
・自らの思考にとらわれる傾向が強い
・送球がうまくいったときに失敗しなくてよかったと思う傾向が強い
・ミスに対してチームメイトや監督、コーチらから叱責されることが多い
-の3つの傾向が見つかった。
井上助教は自らの思考から距離を置き、失敗しないようにプレーしようとする姿勢を改めるとともに、監督やコートら周囲がイップスに配慮することの重要性が浮かび上がったとみている。
イップスは米大リーグ・ボルチモア・オリオールズの藤浪晋太郎投手が阪神タイガース時代、暴投や死球を連発して野球関係者らからイップスの疑いがあると指摘され、あらためて注目を集めた。少年野球から中学、高校、大学、社会人まで幅広い世代に経験者がいるとされ、有効な心理的支援の方法が模索されている。