岐阜大学応用生物科学部の岩橋均教授らは、日本の三大なれ寿司に数えられる和歌山県の紀州なれ寿司からビフィズス菌を分離することに成功した。日本の伝統的発酵食品からビフィズス菌を分離したのは世界で初めてで、伝統食品由来のビフィズス菌を活用した発酵乳製品の開発が期待されている。
岐阜大学によると、岩橋教授らは和歌山県の紀州なれ寿司発酵に貢献する乳酸菌の中にビフィズス菌が含まれることを見つけたが、それまでビフィズス菌が日本の伝統的発酵食品に含まれているとの報告や、ビフィズス菌を分離した事例がなかった。
分離を試みたところ、ビフィズス菌が他の乳酸菌と混在して難しかったため、岩橋教授らはビフィズス菌だけを生育させる温度や空気量などの生育条件、栄養素を試行錯誤の末に見つけ、分離に成功した。見つけたビフィズス菌はヤスケ株と命名されている。
岩橋教授らは日本の伝統的発酵食品から分離したビフィズス菌をチーズなどの発酵乳製品に活用し、ジャパンブランドとして世界に発信することが可能になるとみている。既に研究室でヤスケ株を利用したヨーグルト、チーズの試作に成功しており、商業ベースで日本発の発酵食品開発を期待している。
ビフィズス菌は乳酸菌の一種で、主に人間や動物の腸内に存在する。整腸作用を持つだけでなく、病原菌の感染、腐敗物を生成する菌の増殖を抑える効果があると考えられている。