大阪市立大学の福祉局ビッグデータ解析プロジェクトチームが大阪市の委託を受け、要介護認定ビッグデータを分析したところ、独居者の新規認定時の年齢は女性より男性が低くなっていることが分かった。新規認定の独居者に占める生活保護受給者の割合は男性が女性の3倍に達している。
大阪市福祉局によると、調査は2007年4月から10年間の要介護認定状況をプロジェクトチームが解析した。対象者は男性7万8,026人、女性11万8,114人の合計19万6,140人。独居、非独居の内訳は独居者7万6,578人、非独居者11万9,562人。
新規認定時の独居者の年齢は男性が75.7歳、女性が79.8歳。独居者は男女とも新規認定時に生活保護を受給している人が多く、男性は新規認定の独居者全体の46.5%、女性は15.4%を占めている。
独居者は新規認定時に認知機能や生活機能が低下した人の割合が非独居者より少ない。プロジェクトチームは機能低下ではなく、生活上のニーズから要介護認定を受けている可能性があるとみている。独居者は非独居者に比べ、認知機能が男女とも低下しにくかったほか、要介護度の中重度化、虚弱化でも低い傾向が見られる。生存率は独居、非独居で大きな差が見られなかった。
独居者の割合は調査した10年間で男女とも増加した。訪問介護や通所介護を受ける人の割合は男女とも増えているが、男性は独居者の利用が非独居者より高い傾向が出ている。認知機能の低下者や中重度要介護者、虚弱者の割合も増加傾向にある。
大阪市は政令指定都市の中でも独居の高齢者が多い地域で、2015年の高齢化率が25.3%に達し、2025年に27%まで上昇すると予測されている。高齢者の単身世帯の割合は2015年で42.4%。全国平均の27.3%を大きく上回った。認知機能が低下した高齢者は2017年で6万9,309人を数え、高齢者人口の増加率より認知機能低下高齢者の増加率が高くなっている。