文部科学省の前国際統括官で局長級幹部の川端和明被告が宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事に出向中の業務をめぐり、収賄罪で起訴された事件で、外部有識者を含めたJAXAの検証チームは業務運営に問題点があるとした中間報告をまとめた。JAXAは提言を受け、業務に必要な改善を進める。
中間報告によると、川端被告はJAXAに出向中、東京医科大学への宇宙飛行士派遣を担当者に最優先案件候補と伝えていたという。検証チームは調査範囲内で不適切なJAXA職員の関与は見当たらなかったが、JAXAが川端被告の意を受け、通常と異なる配慮をしたとみる余地があると指摘した。
さらに、民間企業との通信衛星利用事業で打ち合わせの席に医療コンサルタント会社の元役員で、贈賄罪で起訴された谷口浩司被告を同席させていたほか、通常は関係者以外立ち入れないはずの鹿児島県の種子島宇宙センターで行われたロケットの打ち上げを谷口被告に視察させるなどしていた。
検証チームは川端被告の不当な関与を示す証拠はなかったものの、事後の検証ができない仕組みとなっているなどとして業務運営上の問題点と指摘している。
川端被告はJAXA理事に出向中の2015年8月から2017年3月までの間、谷口被告が勤めるコンサルタント会社の営業先に便宜を図る見返りとし、計20回の飲食接待やタクシーチケット1冊の計150万円相当の賄賂を受けたとして起訴された。初公判は11日、東京地裁で開かれる。