茨城大学は東京都港区の虎ノ門ヒルズビジネスタワーに設けられている国内最大級のイノベーションセンター「CIC Tokyo」に東京サテライトオフィスを開設した。経済界とのコミュニケーションを拡大し、大学発スタートアップ企業の創出を加速する。
茨城大学では、茨城県におけるスタートアップ支援の取り組みや筑波大学との連携を踏まえて大学発スタートアップを育てるプラットフォーム「Greater Tokyo Innovation Ecosystem(GTIE:ジータイ)」に参加。茨城大学発のスタートアップ企業であるエンドファイト、DEVEROPTONIAは外部の経営者人材とのマッチングが起業につながり、ビジネス拡大が見込まれている。
こうした経緯を踏まえ、経営者や投資家との活発なコミュニケーションを促す環境を戦略的に整備するべく、業種の枠を超えた290社が入居するイノベーションセンターである「CIC Tokyo」内に、サテライトオフィスを開設。まずはカーボンリサイクルの研究成果の実装など、戦略的ないくつかの取組みをベースとする事業創出に注力する。
茨城大学研究・産学官連携機構(iRIC)の酒井宗寿准教授は、「スタートアップ創出の実績を上げている国内大学では、教員数に対して5%程度の数の大学発ベンチャーを立ち上げている。茨城大学でも、それと同等の5%、件数で25件程度の起業をまずは目標にしたい」と意気込む。また、単に数を追うのではなく、東京サテライトオフィスの機能やGTIEのネットワークを最大限活かしながら、質を伴った形で着実な大学発ベンチャーの創出・育成を手がけていく。
経済産業省によると、大学発スタートアップ企業は2023年10月末現在で全国4,288社に上る。米国など海外ではイノベーションを創出し、新産業を展開する企業の中に大学発スタートアップ企業が少なくないだけに、茨城大学はイノベーションによる新産業創出とともに、茨城県の地方創生に貢献するスタートアップ企業を育てたい考え。