内閣府 総合海洋政策推進事務局が公募した「自律型無人探査機(AUV)利用実証事業」に、いであ株式会社・戸田建設株式会社・東京海洋大学・九州工業大学 共同実施体が採択された。
採択された実証試験名は、「AUVを用いた浮体式洋上風力発電施設の点検を実現するための実証試験」。AUV(Autonomous Underwater Vehicle)とは、人による遠隔操縦を必要とせず、自ら状況を判断して全自動で水中を航行するロボットのことを指す。
日本はAUVに関する高技術を持ちながらも産業化は欧米が先行しており、2023年12月に政府の総合海洋政策本部で決定された「自律型無人探査機(AUV)の社会実装に向けた戦略」では、2030年までに国が主導して、海外展開まで可能になるよう、官民連携で取り組むことが示されている。
いであ株式会社・戸田建設株式会社・東京海洋大学・九州工業大学 共同実施体による実証試験は、洋上風力発電事業の普及、さらにはEEZ(排他的経済水域)へ展開していくために不可欠な浮体式施設を対象とした水中点検技術の高度化の第一歩となる。試験では、いであ株式会社(代表実施者)のホバリング型AUV「YOUZAN」を利用して、長崎県五島市で稼働中のスパー型浮体式施設「はえんかぜ」の水中目視点検を行い、AUV位置制御システム等の適用性を実証する。
今後は、本実証試験の成果を活用して、浮体式洋上風力発電施設の水中点検に活用できるAUVの開発を加速化させ、2030年の水中部保守点検サービスプロバイダー事業化を目指していく。
この実証事業の公募要件には、「大学院や大学、高等専門学校等、高等教育機関と連携し、人材育成の観点から学生を参画させること。」という任意要件がある。採択された4件のうち、高等教育機関が含まれているのは、いであ株式会社・戸田建設株式会社・東京海洋大学・九州工業大学 共同実施体と、コスモエコパワー株式会社・長崎大学・株式会社エイト日本技術開発 共同実施体の2件だった。