ノーベル賞への登竜門と呼ばれる2024年のクラリベイト引用栄誉賞に信州大学の堂免一成特別特任教授が選ばれた。粉末光触媒を使い、水を酸化還元反応で分解してクリーン水素を作る技術の開発が、国際的に高い評価を受けた。

 信州大学によると、堂免教授はクリーン水素の生成を長く研究する中、太陽光を活用した水分解に着目して粉末光触媒を使う水素製造方法を考案、2006年に英科学誌「ネイチャー」で発表した。堂免教授が開発した粉末光触媒は微粒子状で、一段階の反応で水を水素と酸素に分解できる。

 太陽光を使うことで二酸化炭素を発生させずに水素を取り出すことが可能となり、脱炭素技術としても国際的な注目を集めている。ただ、低コストで大規模な水素製造には、エネルギー変換効率をさらに高める必要がある。

 その一環で、信州大学は文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」に採択されたのを受け、大規模な実証実験を長野県飯田市で始める計画。5,000平方メートルの土地に水分解パネルを設置、水素と酸素の生成を進める施設で、国内最大級の実証実験になる。

 クラリベイト引用栄誉賞は発表論文の引用回数が多く、ノーベル賞級と評価された研究者に贈られる。2024年は堂免教授ら世界の22人が受賞者となった。日本出身者では、米国立眼病研究所の彦坂興秀卓越研究員も、学習行動の中心となる大脳基底核の研究で選ばれている。

参考:【信州大学】堂免一成特別特任教授が「クラリベイト引用栄誉賞」を受賞

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