災害リスクの事前軽減などを目的とした国際規格「ISO 37179」が、国際標準化機構から発行された。2015年に仙台市で開かれた国連防災世界会議で採択された仙台防災枠組に基づき、防災を考慮したインフラやスマートコミュニティの原則、基本要件をまとめた規格で、東北大学、三菱総合研究所が開発に参画した。

 東北大学によると、この規格は仙台防災枠組で重要性が提唱された事前防災に投資することで災害リスクを軽減し、災害後の速やかな回復を図るのが狙い。防災を考慮したインフラやコミュニティに必要な4基本原則と、災害対応で求められる6重点原則を定めた。

<スマートコミュニティインフラストラクチャの防災や運用に必要となる4つの基本原則>
・包括性と多様性の考慮
・最適な資源配分
・防災技術の融合と普及
・堅牢性と冗長性の強化

<災害対応の各フェーズに必要となる六つの重点原則の合計10原則>
・科学的根拠の提供
・機能性の絞り込み
・ハード対策とソフト対策の融合
・事前投資の推進
・事前防災の強化
・継続的改善の推進

 東北大学と三菱総合研究所はこの国際規格を上位概念とし、関連する具体的な防災分野の国際標準を開発する。近年、世界各地で大規模な自然災害が発生し、防災への関心が高まっている。日本は東日本大震災や阪神淡路大震災を経験するなど多くの災害を克服してきた。その経験は世界をリードできるもので、東北大学と三菱総合研究所が2020年度から防災概念の国際規格策定に取り組んできた。

論文情報:【Sustainability】Gaps and opportunities for disaster risk reduction in urban areas throughInternational Standardization of Smart Community Infrastructure

東北大学

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